平成26年度 冬のミクニ塾 報告
〜増毛の特産品を使った料理「甘海老のペスカトーレ」
日時 : 平成27年2月14日(土) 午前11時00分〜
場所 : オーベルジュましけ
1 あいさつ 増毛ミクニ塾 副塾長
オーベルジュましけ 総支配人 花田 健二
本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。
増毛ミクニ塾の今年度最後の事業としまして、今回の冬のミクニ塾では甘えびに
ついての講話と料理を作っていただきます。
増毛ミクニ塾も来年度で10年という節目と年を迎え、皆様と何か出来ればと思っ
ています。
是非、来年度も増毛ミクニ塾をよろしくお願いいたします。
2 増毛町の食材研究「甘えび」についての講話
講師:増毛漁業協同組合 参事 忠鉢 武 氏
まず始めに増毛町の漁業の概要をお話しさせていただきます。
増毛漁協の組合員は142名で、主な漁業は、ホタテ養殖、甘えび、タコ、ナマコ
漁業などが行われており、平成26年の漁獲量は5,300トン、水揚げ額が25億1
千万円となっています。
増毛漁協は今から60年以上前の昭和24年7月に設立し、信用事業・金融・共済
保険・卸売市場等を運営し、小さいですが、浜の商社となっています。
次に、増毛漁協所属のえび漁船ですが、えびかご漁船19トン型7隻、えびこぎ
漁船14トン型4隻となっております。
えびかご漁業では、えびが好むスケトウダラや鰊を餌に、臭いに反応する習性を
いかして、かごの中におびき寄せる漁法です。
捕ったえびは、生きた状態で3Kg詰めの発泡に入れ、最後に海水を含ませた白
いものをかけるのは、えびの鮮度を補助するもので、真っ赤なえびが毎日市場に
上がります。
次に漁場ですが、日本海北部の増毛から北西にあります武蔵堆、小樽堆が何十
年も前から決められたポイントで、武蔵堆は天狗を横から見た絵に似ていることか
ら、業界では天狗と言われています。
増毛港から武蔵堆まで19トン型の漁船で、最大限スピードを出しても片道5時間
以上、右隣の陸地側にあります小樽堆でも約2時間30分程かかります。
えびはここだけではなく、この周辺にもいます。
えびかご漁では、1隻に船2隻分の籠が海に入っており、それを6ヵ所に入れてい
ますが、約300以上の籠を海底から船に上がって来るまで、1時間40分〜2時間程
かかり、それを6回繰り返すと10時間以上の作業となります。それに往復の時間を合
わせますと20時間程の操業となり、乗組員5〜6名でやっていますが、非常にハード
な仕事であります。
それに、底引き揚げがあり、これは雄冬沖で5名で操業していますが、朝の4時〜
5時に出航して夕方には戻り、えび漕ぎ網は通称底引き網漁業になっていまして、操
業時間も許可書では、日の出から日没までとアバウトです。
甘えびのポイント4点
@ 増毛町のえびの漁期は1年中捕れ、えびかご漁が3月1日〜11月30日
えび漕ぎ網が9月16日〜5月31日までで、夏のえびは船の中に10トンの水
槽があり、小型のエンジンで冷凍機を回し、水温を4度(水深300〜400mの海
底の温度に近い、今の海の温度)にして鮮度を保っています。
えび漕ぎ網漁は、冬場(12月〜2月)がメインで、今がえびに丁度良く、甘くな
っています。
A 増毛の甘えびの違うところは、船内水槽で活の状態により市場に出され、飽き
のこない上品な味です。
B 増毛では甘えびでなく、見た目が赤唐辛子に似ていることから、南蛮えびとも
呼ばれ、常にブランド意識を持ち、鮮度、流通などを意識し、沖と船と漁協が一体
となって、無菌海水を作るなどの工夫しながら、地元からも愛される増毛の特産
品になっています。
C 高級なイメージの甘えびは、増毛町以外の産地でも、大半は東京の築地や
北陸の金沢、名古屋、関西方面へと新千歳空港から毎日空輸されています。
北海道ではあまり消費されないということもありますが、もっと地元で食べて欲
しいと考えており、漁協としましては安定供給、価格を目指して、消費拡大のた
めに努力していきたいと思っています。
この度、ご縁がありましてオーベルジュましけにお世話になります。
出身は余市町ですが、学校を出て料理の世界に入り、ほとんどホテルで料理を
作っていました。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、増毛産の甘えびを使った「ペスカトーレ」を作っていきます。
パスタの麺もルルロッソを使いまして、タリアッテレと言われます平麺ではなく、
特別に作っていただいたタリオリーニと言われるスパゲティ状の四角い麺を使います。
非常にコシがあって美味しい麺です。
それでは料理に入りますが、まずお湯を沸かして、えびを塩水で洗いますが、殻
付きを使用するため、殻はそのままで、オリーブオイルは2種類ありますので、色の
薄い方がピュアオイルです。
次に、にんにくのみじん切りを入れますが、火はつけないで、必らず冷たい油に
入れてから火をつけて、中火程度で香りを出します。温まった油で炒めますとにん
にくの苦みが出ます。
黄金色になりましたら、玉ねぎのみじん切りを入れ、トマトソースは使わないで
普通のトマトか今日は缶詰ですが、フレッシュなトマトも使えます。
玉ねぎが軽く炒まってきましたら、甘えびを入れ、ここに白ワインを加え、水でも
良いのですが、パスタの茹で汁がありますので、それを入れて下さい。
ある程度、火が通ったら生でも食べられますので、一度えびを取り出し、それか
らトマトを入れ、一度火を止めます。
パスタはお湯に対して1%の塩を入れ、今日は、ルルロッソを3分茹でます。
パスタが茹であがるまで、ソースは煮詰めないようにし、2分程早めにあげてくだ
さい。そうして、2分で火を入れソースに絡めますので、表示時間より早くパスタを
あげるのがポイントです。
イタリアのナポリでは、魚介のパスタには、チーズは使わず、ローマから北の地
方はほとんどが生クリームやチーズを使います。チーズの量はお好みですが、
ローマあたりでは、カルボナーラに生クリームではなく、卵のみ使います。
3分経ちましたら、麺をソースの中に入れ、水分が全て麺に吸われるように絡め
水分とオリーブオイルは1:1にしないと固まってしまいます。それに、皿に盛った
時に垂れてきません。
あとは残りの食材を入れて絡めますが、決して炒めず、最後に色の濃いオリー
ブオイルを絡めて完成です。非常に簡単ですので、皆さんもやってみてください。
◎ 塾生による料理実習
◎ 料理実習後の試食会とランチバイキング料理の一部